歴史に関する雑学集 (5) - 真・役に立たない駄話

ルソーの意外な一面?

 フランスの思想家ルソーといえば、人間はもともと善であると主張、「自然
に帰れ」という名セリフを残したことや、幼稚園などで歌われる童謡「むすん
でひらいて」の作曲者としても知られている。

 この、教育にも一家言あった思想家が、じつは“後家殺し”だったことは案
外知られていない。

 彼がしとめた後家さんは、2人。1人はルソーが19歳の時の相手で、31
歳のバラン夫人。彼女とは、「ママ」「坊や」と呼び合う仲で、同棲生活は1
0年も続いた。

 しかし、金の切れ目が縁の切れ目。彼女の経済状態が悪くなると、さっさと
別れ、今度は、やはり後家さんのベルスリス夫人のもとへ。

 結局、この夫人との関係も長続きせず、最期は、パリの安宿の従業員と同棲
することになるのだが、この間、社会に適応できなかった恨みが、のちにルソ
ーをフランス革命の理論的支柱にさせたようだ・・・

井原西鶴がもつ世界記録がとは?

 江戸前期に活躍した浮世絵草子の人気作家といえば、「好色一代男」などの作者、
井原西鶴だろう。

 しかし、彼がこの作品で浮世絵草子作家としてスタートしたのは、すでに41歳の
ときだった。それ以前は、俳諧師として、有名で15歳で貞門の俳諧をおさめたと、
前衛的な作風で活躍、21歳で早くも一家をなしていた。

 ちょうどそのころ、大阪生玉本覚寺で、1日に1600句を詠み上げて「生玉万句」
を上梓しているが、それを上回る偉業を成し遂げたのは、散文の世界へ転向してから
2年後の、1684年6月5日のこと。

 その日、彼は俳諧への決別を心に秘めていた。そして、最後に詠んで詠んで詠みま
くろうと考えたのだ。

 住吉神社の境内に数千人の観客を集め、彼が一昼夜がかりで読み上げたのは、なん
と、23500句。時間に換算すると4秒に1句という、とてつもないスピード、世
界記録であることは間違いないだろう。

 4秒間で17音を発声、これを24時間続けることは、人間ワザとはおもえない。

 なお、このとき西鶴が詠んだ句についての記録はない。なにしろ口から機関銃のよ
うに発せられる言葉を、誰も書きとめることができなかったのだ。

皇太子ご成婚中継で、名前を呼ばれた力士

 テレビに効果音は欠かせない存在だ。これがあるかないかで、ひとつの場面が劇的
にもなるし、平凡にもなる。だが、効果音も使い方を誤ると……

 昭和34年4月10日、皇太子(現 今上天皇)のご成婚の日。この時のテレビ中
継は、もっとも効果音に凝った放送だとされている。

 「パカッ、パカッ」の蹄の音は西部劇のもの。沿道の人々の大歓声は大相撲のもの
を使った。

 ふつうなら、生音をひろえば済むところだが、このときは、道に沿ってレールを敷
き、トロッコを走らせて望遠レンズを使う中継だったため、到底無理だったのである。

 馬の軽やかな足音。それをバックに、盛大な拍手と「ワァー」という大歓声が入り、
中継は順調だった。が、突然、

「玉錦〜ッ!」

 の大きな掛け声が……。今では考えられない大失態だ。めでたい場面で自分の名前
が呼ばれた玉錦にとっては、随分と名誉なことだったかもしれないが……