食べ物に関する雑学集 (5) - 真・役に立たない駄話

漬物を「香の物」と呼ぶのはなぜ?

 においが臭いという理由で嫌われることも多い漬物だが、ときに「香の物」と呼ば
れることもある。

 あの臭いにおいと「香」という文字は、なんだが意外な取り合わせだが、漬物のこ
とを「香の物」とよぶのは、じつは平安時代の遊びに由来する。当時、貴族たちのあ
いだで、香を焚いて、その香りの名前を当てる遊びがはやっていた。

 このとき、途中の休憩で使われたのが漬物だった。強烈なにおいの漬物を食べるこ
とで、先ほどかいだ香りの記憶を消し去り、鼻や頭をリフレッシュさせようというわ
けである。

 つまり、香遊びのときに使われる食べ物だったため、漬物は「香の物」と呼ばれる
ようになったのである。

ヌーボーってお洒落な酒だと思ってない?

 ワインの新種ヌーボー。その騒動は、日本でもブームを超えて、年中行事の一つに
なった観がある。

 そんなヌーボーだが、フランスで飲まれるようになった経緯は、けっしてお洒落な
もんではなかった。

 戦後のすぐのころ、戦勝国とはいえ、長期間ドイツに占領されていたフランス人は、
極端な物不足に見舞われた。

 フランス人にとっては、水よりも大事なワインも、すっかり底をついてしまったと
いう。まして、ワインは樽の中で寝かせないと飲めない酒だ。このままでは、いつに
なったら、ワインを飲めるかわからない。

 そこで、すぐに飲めるワインは無いかと研究したのが、ソルボンヌ大学のフランジ
ィ教授。

 教授は、いろいろと思考錯誤した結果、ボージョレー地方のガメイ種という特異な
ブドウに行き着いた。このブドウでワインを作ると、長く寝かせるより、すぐに飲ん
だほうがうまいのだ。

 以後、教授は、"インスタントワイン"の作り方を工夫する。そして、自然発酵を待
たずに、ブドウをタンクに詰めて炭酸ガスを充満させた。これで、それまで2ヶ月は
かかっていた発酵期間が1週間に短縮された。

 日本でも、戦後、物不足の時代、粗悪なカストリ焼酎が愛飲された。同様のワイン
の元祖がこのヌーボーだったというわけ。

日本人は口の中で味付けをする?

 旅館の食事といえば、天ぷら、刺身、煮物、焼き物と、質はともかく、たくさんの
料理が同時にテーブルの上に並ぶ。これらの料理をどういう順番で食べるかは、各人
の自由である。

 一方、西洋料理のレストランでフルコースを頼むと、スープ、オードブル、魚料理、
肉料理、デザートと単品で登場してくる。

 これは、日本料理を食べるときは、口の中でいろんな味を調合しているということ。
煮物とご飯を口に入れた人と、ご飯とお椀物を口に入れた人とでは、同じ料理でも味
わい方が違うのである。

 これは「口中調味」という食事法だが、一方西洋料理は、調理人が皿に盛り付けた
時点で、料理の味は一つに限定されている。つまり、「口外調味」で、日本と欧米で
は、基本的なところで食習慣に違いがあるのだ。