ロケ地のセットを実在と勘違いした視聴者 - 真・役に立たない駄話

ロケ地のセットを実在と勘違いした視聴者

 日本初の、連続ドラマ『日真名氏飛び出す』について以前お話したが、このドラマにはもうひとつ「はじめて」がある。レギュラー・スポンサーを獲得した初のテレビ番組であったことだ。以前は、ドラマのスポンサーといえば単発やスポットがせいぜい。連続して番組を提供するにはメーカーにも覚悟と勇気が必要だった。そんな奇特なスポンサーになったのが、製薬メーカーの三共製薬だった。

 メーカーを口説くためTBSがあみだした作戦が、劇中にCMを盛り込むという、当時としては斬新な企画アイデアだった。主人公がドラマのなかで、三共ドラッグストアにひんぱんに出入りし、さりげなくビタミン剤を飲むわけだ。番組の人気とあいまって、この三共ドラッグストアが視聴者から大いに注目を集めた。

 いまでもドラマのロケ地にファンがつめかける現象はあるが、そこにホンモノの役者がいないことはだれもが知ったうえでの行動。ドラマの雰囲気に浸りたいだけだろう。

 ところが、当時は、ドラマと現実の混同もめずらしくなかった。ドラマの設定場所となった銀座にホンモノのドラッグストアがあると勘違い、そこに主人公が来ることもあると思った視聴者たちが大集団となって銀座を探し回るという現象が後を絶たなかったらしい。なかでも、東京以外の地方からわざわざやってきた人たちの落胆ぶりはすごかったようだ。実在しないと知り、ガックリと首を垂れて東京駅を後にする人たちの姿もあったとか・・・

 また、主役の日真名進介役の久松保夫氏にいたっては、「チンピラ達が集まってケンカをしている処をたまたま覗きに行ったら『日真名氏が来た』と彼らは逃げていってしまった。彼らは『日真名氏は強い』と思っていたらしく恐れられていたようだった」と久松自身がインタビューで語っている。

 当時の人たちにとっては、それほどの影響力があったことは間違いないようだ。
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